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「倉庫の保管効率を上げたいので、中二階を設置したいけど、具体的に何をしたらいいかわからない・・」
「中二階を設置は勝手に作っていいの?何か法律上の問題があるのかなど、よくわからないことが多い・・」
このようにお考えではありませんか?
倉庫の在庫保管において、中二階の設置は非常に有効な方法の一つです。倉庫は天井が高く、倉庫上部の空間がデッドスペースとなっている事が多く、これらを有効に使うことが出来れば、賃借料や増床コストを大幅に削減しながら運営することが出来ます。
倉庫の管理業務を10年以上担当し、様々なツールを用いて保管効率向上を行ってきた私が、中二階設置の前に知っておくべきことを解説いたします。この記事を読んで頂くことで、保管効率化の具体的な方法とプロセスが明確に理解し、実際に自社でアクションを起こすことが出来るようになります。
それでは早速詳細についてみていきましょう!
中二階ってなに?
中二階とは、建物の1階と2階の間にもう1階層増設する事です。
設置する目的は、基本的に倉庫内在庫の保管効率向上です。図のようなイメージで設置します。設置により、これまでデッドスペースとなっていた空間を最大限利用することができます。
ただ、中二階とはいえ、図の通り実質的には3階立てになっているのとほぼ同じことなので、後述する建築基準法に基づく手続きや準備なども必要になるケースがありますので、設置の際にはこれらに注意してください。
中二階を設置するメリット
メリットは、在庫の保管効率が大きく向上する事です。また、設置方法によっては、建物の工事をせずに設置する方法もある為、時期や状況に応じてカスタマイズしながら設置することもできます。
特に後者の方法は、倉庫を他者から借り入れて利用している場合は、倉庫自体の増床や改修工事が出来ない場合がほとんどになるはずです。このような場合にも中二階は保管効率を向上させるために非常に有効な方法です。
中二階を設置するデメリット
中二階を設置するデメリットは、各種法規を満たす必要があることです。階が一つ増えたことになりますので、基本的には通常のフロアで行っている安全管理や、建築・消防法の各種が適応されることになります。
自社倉庫で運営されている方は、すでに既存フロアで同様の管理を実施されているかと思いますが、他者から借りている場合などは、家主の方が管理している範囲もあると思います。設置に際しては家主との調整・交渉を始めとした多数の調整・準備事項が発生することがデメリットといえるでしょう。
また、設置後も管理範囲が増える事になりますので、経営者や管理職の管理負担が上がりますので、これらが継続的に発生する事も頭に入れておきましょう。
中二階の設置方法
ここでは、具体的な設置方法の種類を紹介します。自社に合う方法を選んでみるとよいでしょう。
建物の増床工事による中二階設置
一つ目の方法は、建物自体に中二階を設置する工事を行う方法です。この方法の場合は、自社倉庫の場合が大半になると思います。長期的に保管スペースを拡大しなければならないなどの見通しが明らかであり、高額の初期投資をしてもよいと判断できる場合においては実施してもよいでしょう。
メザニンラックによる中二階設置
メザニンラックは、倉庫や工場などで使われる収納システムの一種で、空間を効率的に活用するために設計されています。このシステムは、通常の棚やラックの上に追加の作業スペースや保管エリアを設けることで、床面積に対する収納容量を増加させることができます。
メラニンザックの主な特徴は以下の通りです。
空間利用の最適化
床面積をそのままに、垂直方向の空間を有効に活用することができます。これにより、限られたスペース内での収納能力を向上させることが可能です。
カスタマイズ性
メザニンラックは多様な設計が可能で、倉庫の具体的なニーズやスペースの条件に合わせてカスタマイズできます。サイズ、高さ、耐荷重などが調整可能です。
コスト効率
新たな建物を建設することなく、既存の施設内で収納スペースを拡張できるため、コスト効率が良いです。また、組み立てや解体が比較的容易で、必要に応じて再配置や拡張が可能です。
アクセスの容易さ
階段や貨物エレベーターを組み合わせることで、上層部へのアクセスを容易にします。これにより、商品の出し入れがスムーズに行えます。
多機能性
メザニンラックの上部は保管スペースとしてだけでなく、事務所スペースや作業エリアとしても利用できます。これにより、作業効率をさらに高めることが可能です。
メザニンラックは、特に在庫管理が重要な物流センターや、スペースを有効活用したい製造業の倉庫などで広く利用されています。設置を検討する際には、耐荷重や安全基準に注意し、適切な設計と施工が行われるようにすることが重要です。
中二階設置時の注意事項
各種法令を遵守して設置しましょう
倉庫に中二階(メザニン)を設置する際には、法令に基づいていくつかの規制や基準を準拠する必要があります。主に考慮すべき法令は以下の通りです。
建築基準法
この法律は建築物の安全を確保するための最も基本的な法令で、建築物の構造、用途、設備などに関する基準を定めています。中二階を設置する場合、耐火構造や避難経路など、建築基準法に定められた基準を満たす必要があります。
耐火性能
倉庫が特定の用途である場合、中二階の構造も耐火性能を有する必要があるかもしれません。
避難経路の確保
中二階を設置することで避難経路が確保されているか、非常階段が必要になる場合もあります。
消防法
中二階の設置が消防法によって規制されている場合があります。特に、消防用設備や避難経路、防火区画といった点が重要です。
労働安全衛生法
倉庫内で労働者が働く場合、労働安全衛生法に基づく安全対策が求められます。中二階が労働環境に与える影響を考慮し、適切な安全措置を講じる必要があります。
これらの法令は、倉庫に中二階を設置する際に最低限準拠すべき法令ですが、具体的な設計や用途によっては他の法令や条例にも注意を払う必要があります。設計段階で専門の建築士や法律の専門家と相談することをお勧めします。
建築確認申請を実施しましょう
建築確認申請は、建築基準法に基づいて、建築物の建設、改修、大規模な修繕などを行う際に必要な手続きです。この申請は、建築計画が建築基準法や関連する法令、条例などに適合しているかを確認し、承認を受けるために行います。建築確認申請の主な流れは以下の通りです。
申請書類の準備
建築主、設計者、建築士など関係者が計画書や図面、計算書など必要な書類を準備します。これには、建築物の用途、構造、設備、耐火構造など詳細な情報が含まれます。
申請の提出
準備した書類を地方自治体の建築指導課や指定確認検査機関に提出します。地域によってはオンラインでの提出が可能な場合もあります。
審査の実施
提出された計画が建築基準法をはじめとする各種法令に適合しているかを審査します。審査では、安全性、衛生、環境への配慮などが考慮されます。
確認通知の発行
審査に合格すると、確認通知が発行されます。これによって、建築計画が法令に適合していることが認められ、工事を開始できるようになります。
工事の実施と完了後の検査
確認通知を受けた後、実際に建築工事を開始します。工事完了後には、最終的な建築物が提出された計画通りに完成しているかを確認するための検査が行われ、問題がなければ使用開始が許可されます。
建築確認申請は、安全で快適な建築環境を確保するための重要なプロセスであり、計画段階から申請、検査まで法令に従った適切な手続きが求められます。倉庫に中二階を設置する際も、この申請が必要になることがありますので、専門家としっかりと相談しながら進めることが重要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
中二階を設置するにあたっては、設置までの手続きを始めとし、適切なプロセスを踏む必要がある為、かなりの労力が必要になります。ただ、長期的に必要と判断できる場合には、設置によるメリットも大きいため、これらの手順を踏んで実際に設置をしてみるのもよいと思います。
倉庫内のスペースにお悩みの方は、一度検討してみてください。